女帝
女帝とは
女司祭の次は女性の王、女帝です。女司祭が神秘性や精神性の高さなど、閉ざされた内向世界を表すとしたら、女帝は万物を生み出す大自然に囲まれた、開放的でオープンな世界でしょう。
緑豊かな木々に、とめどなく湧き出る水、そして黄金に実る作物。その中心に愛と美を司るヴィーナスマークをあしらった盾とともに、自然体でゆったりと腰かける姿からは、あらゆるものを生み与える豊穣の神や大地なる母を思わせます。
また、3という数字は創造という意味を持ちます。1が始めにあり、2と出会い、そこから新しい3が生まれる。男と女から子が生まれるように、陽と陰が和合して万物を生じるように、テーゼとアンチテーゼからジンテーゼが生まれるように、3の女帝はまさに無限に愛や万物を生み出す存在なのです。
正位置だと、力を抜いて自然体であるがままを受け入れ、またとめどなく与えよというような意味になります。余計な力みや考えはいりません。自分も含めたあらゆるもののありのままを、愛という最強のパワーで寛大に包み込むのです。また、母とも非常に縁が深いカードです。
逆位置だと、力が抜けきりあるがままを受け入れることのマイナスな面、例えば楽な方に流されていたり、優しすぎて締りや厳しさが欠けていたり、過保護すぎるというような意味になります。また、愛や寛容さが足りていないというような意味も持ちます。
正位置キーワード
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愛
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生み出す
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寛容
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あるがまま
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自然体
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ゆったり
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余裕
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繁栄
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豊かさ
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母
逆位置キーワード
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愛が足りない
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愛情過多
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生産過剰
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甘え
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ゆるすぎる
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惰性(怠惰)
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余裕がない
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過保護
シチュエーション別の解釈
現在の状況/女帝正位置
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余裕と自信で満ちている
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余計な力が入らず自然体
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寛容で寛大な愛を持っている
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何不自由のない環境
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心身ともにゆとりのある状況
現在の状況/女帝逆位置
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余裕も自信もない
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受け身で流され過ぎている
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過剰に何かを与え過ぎている
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自分あるいは他人への愛が足りてない
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無駄遣いしている
相手の気持ち/女帝正位置
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大きく深い愛で満ちている
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母親のように優しく見守りたい
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あるがままの自然体でいい
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どんなこともおおらかに受け止めたい
相手の気持ち/女帝逆位置
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過剰な愛が負担に感じている
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無理のない楽な方に流されたい
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どこか満たされない不満足感がある
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依存心がある
結果/女帝正位置
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偉大な愛情を感じる
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余裕と自信が持てるようになる
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あるがままの自然体を受け入れられる
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多くの実りを享受する
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有利な立場になる
結果/女帝逆位置
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余裕や自信を失う
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何でも与えすぎて甘やかしになる
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主体性がなく相手や環境に流される
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思っていた成果が得られない
アドバイス/女帝正位置
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もっと自信をもって堂々とどっしり構えて
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あるがままの自然体が本来の魅力を輝かせる
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大きな愛と包容力でおおらかに受けとめて
アドバイス/女帝逆位置
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自分への自信と愛があなたを輝かせる
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よかれと思って手を出し過ぎないように
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惰性や怠惰にならないよう気を引き締めて
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見返りは求めない
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自分にとって必要なものを見極めて
瑠璃と琥珀 女帝について語る
瑠璃:
来ました、女帝さん。彼女を見ていて浮かぶ言葉は、「敵わない・・・」です。
なんというか、どんな駄目人間でも、極悪人でも、人間失格烙印者でも、「いいのよ」と受け止めてくれそうな、無限大の包容力や慈悲力に圧倒されるという感じなのです。
琥珀:
美輪明宏さんみたい〜笑(ビジュアルに引っ張られすぎかな!?)確かに受け止めてくれそうですけど、彼女は聖女ではなく女帝、有事のためか盾を足元に置いていて、私はどちらかと言うと、なんでも受け止めるというより、自身が守るべきものを脅かすものに対しては戦う、愛の戦士や子育て中の母親という強い女性のイメージのカードです。極悪人には子供を叱る様に、ダメなことはダメなのよ。ってさらっといってくれる様な。
ただ、戦うといっても彼女の持つ盾は、槍の様に相手を傷つけるものではなく、相手の攻撃を受け流すもの。そこからも瑠璃さんのいう女帝の芯の強さや他者に対する姿勢、包容力の深さが伺えますね。
瑠璃:
なるほど、「母は強し」の強い面ですね。聖女じゃないっていうのも同感です。確かに、このカードで思うことの一つに、女帝ってことは配偶者の存在がありそうなのだけど、彼女は彼女一人で生きているというか、自立しているというのがあります。何にも揺らがされない動じない強い女性。顔も、女性らしい柔らかい感じでなくて、凛々しい感じですしね。(それに加えて金髪とくれば美輪さんが出てくるのも無理ない笑)「肝っ玉母さん」って感じ。
母というワードが出てきましたが、このカードが出るとやっぱり真っ先に母のことを表していないかと推察するくらい、母と縁深いカードでもあると思います。
琥珀 :
そうそう!冒頭で瑠璃さんも触れてましたが、女司祭が女性の神秘性の示すなら女帝は女性の能力的な部分の女性性を表していますよね。太古の昔から人々は命受け止め育む雄大な自然に感謝と畏怖を込めて「母なる大地、母なる海」と例えますが、女帝はこうした女性の子供を産み慈愛の心で育てるという実機能的な部分での神秘を示していると思います。
しかし、母になるには男性の存在が必要不可欠。ゆえに清らかすぎること事なく、性的な雰囲気もあって女性の持つ華やかでのびやかな魅力を感じます。
例えるなら、そーだなぁ「崖の上のポニョ」のポニョのお母さんであるグランマンマーレの様な!伝わるかな?
実際の鑑定でも、セクシャルな関係や色と欲を示すシーンで頻出する印象です。
瑠璃:
わかるよ、私もグランマンマーレを思い浮かべてたもん笑
命を生むことと性(セックス)は切り離せないですもんね。性にかかわることって、でもなんとなく公にせずに秘めておくもの、恥ずかしいことみたいな風潮がありますが、女帝を見てると、命を生むのに必要不可欠なもの、何恥ずかしがってんのよ、動物なんだから色も欲もあって当然よ、それが自然なのよ!って感じがしてきます。
それゆえに、逆位置になると性に奔放とかいう意味合いにもなってしまう女帝さん。他には、過剰生産して飽和状態とか、与え過ぎて根腐れしちゃってるとか、そんなニュアンスが逆位置では出てきますね。
琥珀 :
アァー!まさに今男子中学生の様に恥ずかしがってた!ぼやっとした表現で書いたので女帝の言葉が的確に刺さる!女帝様のおっしゃる通りでございます。笑
過剰は毒になりますもんね。栄養も光もなんでも。受け身な姿勢なのでそれが裏目に出て、流されてしまって歯止めが効かなかったりと過剰な恵みに甘えて堕落してしまうんですよね。恵まれていることは幸せですがあまりに依存してしまうと本来の美しい姿を失ってしまうという事を女帝の逆位置からは感じます。
瑠璃:
過ぎたるは及ばざるがごとし。タロットカードでいつも痛感させられることです。
恵まれていることが段々当たり前になってきて、恵まれているのに恵まれていない、そんな恵みに麻痺した状態だと、自分自身も含め世界のあらゆるものの輝きが鈍ってしまうのでしょうね。