皇帝

 

皇帝とは

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皇帝は大アルカナ4番目のカード。4は春夏秋冬や東西南北、万物は4つの元素からなるという四元素など地上の秩序を象徴する数です。
また4点を結ぶと住居や机など私たちの生活に溶け込んでいる四角形ができる様に、4には安定や安全というイメージが浮かびます。この安定というイメージは視点を変えると変化に乏しく、マンネリという風にも捉えられますね。
 
皇帝は甲冑とともに闘志あふれる赤い衣装を身につけ、切り立つ険しい山々を背に牡山羊をモチーフにした玉座に座しています。
前回の女帝とは対照的な雰囲気です。
女帝が産み出し育む受動的な生産だとしたら皇帝は人間界における地位や名誉、物質的実りを求めて自ら行動し、前進する能動的生産性を示すカードと言えるでしょう。
 この険しい山々は彼の歩んできた、もしくはこれからの道の厳しさ、苦難を感じさせます。
ですが闘志あふれる赤い衣と厳しくも凛然とした表情はそんな苦難にも怯むことなく向かっていく強い意志を表している様です。
目標達成のために時には手段も選ばず、残酷に映る行いもあるかもしれませんが、のちの安定と目標達成のためにはそれも必要なことなのでしょう。
 
正位置だと問題に対し行動力や情熱が大きく影響する事を示します。
また理想に燃えそれに対して前進する様な活気に溢れる状態も指します。目標に向かい強いリーダーシップを発揮する時でしょう。
 
逆位置になるとこの旺盛なリーダーシップが裏目に出てワンマンとなったり、自分本位の考えによって周囲から孤立したり、実力不足により事態を掌握出来ないという様な事も考えられます。また意欲が湧かなかったり、勇気なく無気力で無責任な状態を指す場合や、主導権をなくし、人に振り回されてしまう状況を指すこともあるでしょう。
 
単純に父親や目上の人など権威のある人物を指すケースもあるので、このカードが出現すると当てはまる人物がいないか、問題と照らし合わせたり、前後のカードの並びと合わせて検討してみてください。
 

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正位置キーワード

・成功

 ・達成

・行動力

・リーダーシップを発揮する

・実力がある

・目標に向かって前進する

・獲得意欲

・建設的な行動

・男性的な力

・地位の向上

逆位置キーワード

・ワンマン 

・実力や行動力不足

・自分本位

・強引 

・地位の失墜

 

 

シチュエーション別解釈

現在の状況/皇帝正位置
  • 事態をコントロールできている
  • 行動力を持って前進できている
  • 実力が評価されている
  • 周囲から信頼を得ている状況
  • 努力が実っている時
  • 安定している状況
現在の状況/皇帝逆位置
  • 事態を掌握できていない
  • ワンマンすぎて信頼を失っている
  • 実力が伴っていない状態
  • 不安定な状況
  • 行動力が足りていない
  • 周囲の意見を無視した独りよがりになっている
人の気持ち/皇帝正位置
  • 自信にあふれている
  • 闘争心がある
  • 必ず勝ち取るという強い意志がある
  • 責任感ある行動をしている
  • 仕事に情熱を傾けている
  • 自分が先導したりリードしていきたい
人の気持ち/皇帝逆位置
  • 自信を失っている
  • ステータスに固執しすぎている
  • 我儘な自分の気持ちを押し通そうとしている
  • 勇気が出ない
  • 重い責任や役割を負いたくない
結果/皇帝正位置
  • 地位や名誉を得る
  • 自信を持つ
  • 信頼関係を築ける
  • 人をまとめたり監督するような立場に立つ
  • 自分の意志でコントロールできるようになる
結果/皇帝逆位置
  • 地位の転落
  • 強引さで人間関係でトラブルを抱える
  • 努力が中途半端となり徒労に終わる
  • 自信を失う
  • 責任を負うことから逃げる
  • 仲間からの信頼を失う
アドバイス/皇帝正位置
  • 自分を奮い立たせて
  • 堂々と自信を持って
  • 目標だけを見つめて努力を忘れない
  • エネルギッシュに行動を起こして
  • 意思決定するのはあなた自身
  • リーダーシップを発揮して
アドバイス/皇帝正位置
  • 自分だけではなく周囲の状況もよくみて
  • 勇気を持って行動に移して
  • 地位にこだわらないで
  • 果たすべき責任から逃げないで
  • ワンマン的に進めるよりも協調性が必要

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瑠璃と琥珀皇帝について語る

 
皇帝!THE☆男性ホルモンマン!
皇帝の面白いところは、恵みの恩恵を存分に受け産み育てる天界の女神の様な女帝に対して、厳しい環境の中自分の獲物を定めたらそれに向かって、自らが動き強い意志で取得していくというちょっと俗っぽいファイターなところですね。
現実でもこういう実業家やサラリーマンの方が多くいらっしゃいますしイメージしやすいかなと思います。
 
瑠璃:
いや、本当、皇帝がいる場所って、恵みとか恩恵とは無縁の過酷で厳しい環境ですよね。社会とか外の世界はそういう過酷で厳しいものだけど、そこで強く生きるまさにファイター。でも最初の説明にもありましたが、4といえば安定。そんな中でも、辛うじて?自分が安らげる自分の王国を、秩序やルールをもって保っているって感じでしょうか。
 
皇帝が安らげているかはこのカードからは分からないなぁ。玉座に座ってなお厳しい顔をしているし、彼の場合、自分の理想とする王国がイコール安住の地とは限らないのかも。
出世戦争を家族のために戦っている仕事一筋の大黒柱の安住の地が決して仕事ではない様な感じかなぁって。家族を支える、安定させる(目標)のためなら自分の苦労も厭わないみたいな。でもそんな風に目標に対しすごくストイックなのはある種の純粋さを感じますね。
 

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瑠璃:
安定を構築しようとしているのに、トップに君臨している限り気を抜くことはできず、安らぎは得難い・・・というアイロニックな感じがあります。そんなにこの皇帝のいる世界は過酷で厳しいのかな(^^;)
でも考え方を変えると、置かれた環境を受け入れ合わせる生き方をすれば、それほど苦労もないのかもしれない。
きっと皇帝は自分が思い描く理想の安住の王国を求めているからこそ、世界は戦うべき過酷で厳しいものになってしまうのかもしれない、そんなことを今ふと思いました。
 
確かにー、迎合しちゃえば楽なのに自分の理想があるからこそ厳しい環境になっちゃうんですね。とってもしっくりきました。(楽な方に逃げがちな私には耳が痛い笑)
皇帝って王国があって、従える家臣がいて…ってたくさんの人を従えているイメージなんですけど、このカードはたった一人の姿が描かれています。瑠璃さんはひとりぼっちの王様に何を思いますか??
 
瑠璃:
そうですねぇ、ひとりぼっちで描かれているので、孤独感みたいなのが漂いますね。
王であるゆえの孤独、例えば一番上だから自分しか頼れないとか、最終決定するのは自分でその決断の責任はすべて自分が背負わなければいけないとか。時には彼の国の住人を守るために、非道さや冷酷さも必要かも。
そうやって何人もの人の生活や命を一人きりで抱えているのだなーと思うと、そりゃこんな険しい感じにもなるよなーと思えてきました。
 
瑠璃:
王様は王だから一番偉いし、一番権限があるし、一番好き勝手やっていい感じもしますが、その度が過ぎると、誰もついてこなくなる。そうなると、もう王というのは名だけで、逆位置に転落ですね。
王だけど主役はあくまで国の住人、そんな謙虚さや優しさ、そして責任感の強さを持っているのが、正位置の真の王の姿かなーなんて思います。
 
そうですね!逆位置になるとワンマンな姿勢や独り善がり、または未熟な行動で周囲を困らせる暴君になってしまう感じですね。そうなるともう多くの人を率いて統べる事は叶いません。まさに裸の王様と化します。
 
なるほどー、王であるが故の孤独ですね。そう思うと前述の厳しい顔にも納得です。
瑠璃さんのお話を聞いて新卒時代の「利己と利他」を思い出しました。「仕事は私欲を捨て他人の幸福を第一に考えてする事、そうすればいずれ回り回って自分にも幸福が還ってくる」という教えだったのですが、皇帝の姿はまさにその様です。
当時の私は結局自分の幸福のためで利己的じゃん!とひねくれた捉え方をしていましたが、今一度よく考えると利他とは究極の利己なのかも知れません。
皇帝に置き換えても他者(国民や家臣)の幸福、安定が自身の目標とすれば自らは厳しい立場に身を置き、試練の連続になったとしてもそれは決して自己犠牲ではなく、自分の満足に繋がり、エネルギッシュに邁進していく原動力となりそうです。
皇帝の鋭い眼光はこの人間社会を力強く生き抜く姿勢を教えてくれているみたいだなと感じます。