戦車とは
恋人の次は戦車です。城を背にし、防具を身につけた青年が、戦車に乗り、というよりもむしろ戦車と一体となり、勇ましい顔つきで戦場へ向かうべくまっすぐ前を見すえています。そして、手前には戦車を先導するかのように、白黒の二匹の
スフィンクスが描かれています。
戦う車と書いて戦車ですからね、これから戦いに行くぞ!と強い意志や負けない気迫といった士気の高まりや、ただ前進あるのみというような猪突猛進的な勢いのようなものを感じさせるカードです。
そんな中、手前の二匹の
スフィンクスは、心なしかお互いに逆の方向を向き、うまく統制しないと、右へ左へと足並みが乱れてしまいそうな気配が漂っています。もしかすると、少しでも恐怖や不安といった闇に心が奪われ、張っていた気が緩んだ瞬間に、戦車はコン
トロールを失い、止まってしまったり、あるいは暴走し出してしまうのかもしれません。
意志の強さで勝利の行方が決まる、そんなことも感じさせるカードです。
正位置であれば、揺るがない意志で力強く前進している様子や、またそうあるべきというような意味になります。勝利へ向かってただひだすら行くべし、行動すべし!恐れも迷いもない、勢いあるストレートな前進力です。
逆位置であれば、それらの意味がひっくり返り、後退や怯みが出てきます。心の迷いや不安がダイレクトに行動に表れ、力強く前に進めないかもしれません。あるいは、間違った方向や不適切な方向へと暴走している可能性もあります。士気を高め直して前進し続けるには、心のひっかかりとちゃんと向き合ったり、一旦止まって方向性の確認をしたりする必要があるのかもしれません。
正位置キーワード
逆位置キーワード
シチュエーション別解釈
現在の状況/戦車正位置
- 現在の状況/戦車正位置
- 勢いよく前進している
- 決めた目的や目標に向かって迷いなく邁進している
- 強い意志が必要
- がむしゃらになっている
- 覚悟を決めて挑むべき時
現在の状況 /戦車逆位置
- 迷いや恐れがある
- コントロールがとれず暴走している
- 突っ走って、周囲が見えなくなっている
- 意志が弱くなっている
- 興味が持てなかったり気持ちが入らない
相手の気持ち/戦車正位置
- やる気や士気が高まっている
- 積極的に行動したい
- 自分の意思を貫く
- 迷いや恐れがなく勝気に満ちている
相手の気持ち/戦車逆位置
- 迷いがあって行動できない
- 恐怖心や不安がある
- やる気がなくなって投げやりになっている
- 気持ちの焦りや空回りしている感じ
結果/戦車正位置
- 行動により勝利や実のある成果を手にする
- ぶれない強い気持ちや自信を得る
- 物事が大きく進展する
- 迷いがなくなり決断や覚悟ができる
- 主導権を握る
結果/戦車逆位置
- 自信を持って勢いよく進めなくなる
- 間違った方向に進んでしまう
- 行動に起こせずに終わる
- 不完全燃焼で後悔が残る
- 優柔不断になり覚悟が決まらない
アドバイス/戦車正位置
- 迷わずそのまま突き進め
- 積極性と行動力が勝利へと導く
- 必要なのはあなたの強い意志と気持ち
- 自分の意志を貫いて
- 気持ちを奮い立たせて挑戦すべし
アドバイス/戦車逆位置
- 迷いや不安の原因と向き合って
- まだ行動を起こす準備や気持ちが整っていない
- 足りないのはあなたの強い意志と気持ち
- 進もうとしている方向が適切かどうか少し立ち止まってみて
- 行動が空回りしたり暴走化していないか冷静になって
瑠璃と琥珀恋人について語る
瑠璃:
戦車のカードを見ると、「GO!」という言葉が浮かびます。例えば、何か迷ってて戦車が出ると、迷わず行っていいんだと応援されているような気持ちになるし、恋愛に関する占いで相手の気持ちで戦車が出たら、おぉ相手もなかなか乗り気ねと感じたり、どちらかと言えば出ると嬉しいカードなのですが、ちょっと異様な不穏な空気を醸し出してるのが2匹のスフィンクスですよね。
そうですね。すましているのか、なんなのか…。白い方に至っては月亭方正に似てるっていつも思ってます。笑
瑠璃:
え、月亭方正?!笑
さておき、スフィンクスはエジプト神話に出て来る人頭獅子の聖獣。神話の中ではクイズ好きだったりと知的な一面も伺えます。そんな半分獣で半分が人間というスフィンクスが二頭、白と黒で描かれていてまるで、獅子の獣の本能か、人頭の理性という対立的な原理を示しているようです。リーディングの時はこれら性質の違うものをうまく制御できているか、どうかというのもポイントになりますよね。
瑠璃:
さすが雑学とかの知識が豊富な
琥珀さん!獣の本能と人の理性…なるほど。思えばこの「青年」というのも、子どもという本能的な存在と大人という理性的な存在の中間に存在する、両者の対立する性質をあわせもったような人物ですね。
そして、前回の恋人ではどちらかといえば本能>理性だったのが、今回の戦車では本能<理性に傾き、より大人に、より成熟していってるって感じがします。
対立といえば、私はこのカードからGO!GO!勢いを感じると共に、二面性も感じるんです。甲冑の肩部分の月の表情も対照的だし、この男性も城壁の外では凛々しく決めているけど、では城壁の中では(ホーム)どうなのかな?とか。特に逆位置で出た時は、勢いがでない根底には何か相談者の中に矛盾や葛藤があるのかな?と考えたりします。
瑠璃:
うんうん、ここではバシっときめているけど、多分中身はまだあどけなさの残る若者な部分であったり、恐怖や迷いなどの葛藤もありそう。それを、強い意志と理性で制御し、自身を律している。そうやって気持ちを強くもっていないと、一瞬の気の緩みで、一気に抑え込んでいた本能的な部分が出てきてしまいそうな。
不適切?かもしれませんが、特攻隊を思い起こします。強い意志と責務を持ち、決して弱いところは見せまいと気丈に振る舞いつつも、その内実は子どものような我儘や甘え、あるいは本能的な恐怖心や怯えなどもあったのではないでしょうか。
瑠璃:
あ、少し脱線してしまいました…逆位置の話でしたね。おっしゃるように、矛盾や葛藤といったものが行動を阻んでいると裏返ってしまいそうですね。それを解消したり、迷いがあるから止めるというも手ですが、戦車という理性>本能的な性質からいくと、嫌だなーという気持ちを抱えながらもやらなきゃならんこともあるねんで、恐くてもなんとか自分を鼓舞して進んでいくんやで、という意味もあるのかなーなんて思えてきます。
なるほど〜。それは新しい視点です。そうですよね、戦車のカードの意味を考えると納得の解釈です。
瑠璃:
いやぁ、自分でも改めてカードと向き合い、言葉として出すことで、こんな見方とか考え方あったんだって、再発見できる場です、ここ(笑)
琥珀 :
瑠璃さんのご意見伺って思ったのが、戦車だけではなく他のカードにも言えることで、ただカードの意味を暗記的に繋げるのではなく、なぜこの場所にこのカードが出たのかな?ということを考えるのがとても大事だと思います。単純にNOや頓挫を示すカードって戦車逆位置以外にも沢山あるのですが、なぜここで戦車逆位置なんだろう?とカードの性質や背景を考えることで、教本にはないオリジナルの視点を持つことが出来、よりカードの真意に即したリーディングが出来そうですね!
私も脱線してしまいました!逆位置だと他には戦車の持つ勢いが裏返って暴走、制御
不能というのもよく感じます。
元々正位置であっても衝動的でテンションの高い状態なのでそれが裏返るとそのあと先考えないぜ!と根の浅い衝動的な状態を指摘している様な。こうなっては
スフィンクスから転がり落ちて、思わぬ怪我をしたり、そのせいで意気消沈することもあるでしょう。
瑠璃:
確かに逆位置は暴走とか制御
不能って感じありますね。意志が足りずに迷いや怯みと読むか、思いが強すぎるあまり間違った方へ突き進んでいっちゃってるよーって読むか。
どちらにせよ戦車も恋人と同じく衝動・刹那的な感情や高ぶりを多く孕んだカードです。その勢いはどこに向かっているのか、コン
トロールされたパワーなのかを見極める必要があると思います。
瑠璃:
そうですね、単なる果敢な行動や前進ではなく、そこに理性や意志というコン
トロールがかかっているかってのが重要なのかもですね。
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お読み頂き、ありがとうございました。