女司祭

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女司祭とは

大アルカナで2を司るカードです。
ローマ数字のⅡは二つの線で天と地や男と女という二元論や、二つの対立物の均衡が保たれるといった緊張感のある安定を示す数字でもあり、この女司祭のカードにもその要素が大きく反映されています。

彼女の背景には静寂さを感じさせる青い世界の中に左右に白黒の二柱があります。
それぞれの柱に書かれているJとBの文字はそれぞれ「Jahkin」「Boas」の頭文字で、神の慈悲と神の峻厳を表す言葉です。
これは神が生死を司るという対極の側面の様に光と闇、男と女、善と悪など相反する二つの事柄が表裏一体となり世界が構築されていること、この世界に不可欠な二極の要素というものの暗示でしょう。
まさに宇宙の神秘と真理をこの札は物語っていると言えます。

そんな二極の狭間で彼女は聖人が身に付けるとされる青い衣に身を包み、凛々しい表情でこちらを見据え、少し変わった冠を被っています。
また彼女は胸に大きな十字架を下げ、手にはユダヤ人の律法書であり、旧約聖書の原典にもなっている巻物を抱えています。これらは彼女の聡明さや神聖さを表している様です。
 彼女の足元には三日月があり、後ろに掲げられたタペストリーにはザクロが大胆に描かれています。

これはどちらも女性性の象徴なのですが、女司祭はこの三日月に自らのヴェールの裾を引っ掛けて隠していたり、タペストリーには背を向けています。
その様子も相まってか彼女からは女性のセクシャルな部分は感じられず、どちらかというと女性の神秘性や女性原理から派生する精神性の高さを示している印象を受けます。
 
正位置だと、物事を冷静に捉えられているという様な意味になります。
そこに打算的な考えやずるさはありません。
潔癖な精神性と真理を見抜く第六感やインスピレーションが高まっている時でしょう。
またその高潔さからナイーヴさや内向世界への傾倒を示す場合もあります。
 
逆位置になると二つの相反する事柄のバランスが崩れてしまいます。
女司祭の持つ潔癖さが際立って、感情的で不安定になり物事を静観できない事態に陥ったり、自分の考えに固執して視野が狭くなりすぎたり、自分の考え以外を排除してしまう様な偏りを示します。
また本来の真面目さが裏目に出てしまっている事を示す場合もあります。
 

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正位置キーワード
  • 冷静 
  • 潔癖
  • 高潔
  • インスピレーション
  • 知性
  • 繊細
  • 聡明さ
  • 処女性
  • 真面目
  • 完璧主義
  • ストイックさ
逆位置キーワード
  • 感情的
  • 情緒不安
  • 内向的になる
  • 独断と偏見
  • 批判的
  • 排他的
  • 経験不足(未熟さ)
  • 世間知らず
  • 思い込みの強さ
  • 神経質
 

シチュエーション別の解釈

 
現在の状況/女司祭正位置
  • ピンと張りつめている
  • 妥協は許されない環境
  • 淡々とこなしている
  • 融通がきかない状況
  • 静かに均衡を保っている
 
現在の状況/女司祭逆位置
  • 不穏な事態の発生
  • 情緒不安定になっている
  • 冷静さの欠如
  • 思い込みが激しくなっている
  • 白黒つけられないグレーな状態
 
相手の気持ち/女司祭正位置
  • 奥手になっている
  • 真剣に真面目に考えている
  • 冷静に最良を判断できる
  • 平静で落ち着いている
 
相手の気持ち/女司祭逆位置
  • 欠点を見逃さない
  • 完璧を求めすぎて粗ばかりが目についてしまう
  • 考えすぎて動き出せていない
  • 冷静さを失い心が乱れている
  • 間違いや汚点が許せず拒絶している
  • 緊張し過ぎてストレスを感じている
 
結果/女司祭正位置
  • 物事の本質を見極められる
  • 知性を高めていける
  • 学ぶべきものとの出会い
  • 自分の本心を知る
  • ヒラメキを得る
 
結果/女司祭逆位置
  • 潔癖すぎて孤立する
  • 冷静ではない決断を下してしまう
  • ストレスを抱える
  • 平静さや落ち着きを失う
  • 経験のなさや未熟さを思い知る
 
アドバイス/女司祭正位置
  • まず落ち着いて静観する事
  • 何事にも向き合う努力をしてみる
  • 独断と偏見の一掃を心がけて
  • 自分の心の声を聞く
  • 頭で考えすぎている
  • 直感やインスピレーションを信じて
  • 白黒はっきりつけて
 
アドバイス/女司祭逆位置
  • 主観的になりすぎないで
  • 冷静さを取り戻して
  • 感情的になり過ぎないように 
  • あまり神経質になり過ぎずにグレーも許容して
  • なんでも鵜呑みにしないで本質を見極めて 
  • もう少し遊び心を持って
  • ストレスの発散を!
 

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瑠璃と琥珀 女司祭について語る

 
このカードの説明は私より瑠璃さんの方がぴったりだと思ってたんですけど、順番なので不本意ながら書かせていただきました。
瑠璃さんはお名前にもある様に冷静さを思わせる落ち着いた青を思わせる雰囲気で、その知的な様子が女司祭をいつも思わせます。
昔そんな事を言ったら「琥珀さんは私を美化しすぎている!」と突っ込まれましたが、あんまり逆位置の瑠璃さん見た事ないんですよね。
 
瑠璃
いやもう本当美化しすぎている!笑 逆位置だらけの不完全人間です。まあ、人間って不完全なものですよね♪
それを言うならば、次の女帝の説明は私よりも琥珀さんの方がぴったりだと思っていました。
私の中で琥珀さんのイメージはワンドのクイーンであり、ワンドのクイーンのさらに上をいくのが女帝という感じですが、両者ともに周りを明るくさせる魅力と快活さをもち、愛のパワーで満ちている気がします。
話がそれましたが、今回の女司祭はそんな彼女達が「陽」であれば、真逆である「陰」に属する感じですね。どこか陰りを帯び、ミステリアスで、近づきがたい、でもそれが高嶺の花のような魅力の持ち主。
静寂を愛し、知的で、クールで、おしとやか、そんなイメージ。
 
そうそう、少女漫画のおドジな主人公の親友で、器用良し!品行方正!だけどミステリアスでクラスの男子が皆、俺なんかにはなびかないだろうと想いを秘めてるって感じ!笑
 
瑠璃さんのいうクールな女司祭は淡々と自分の知性を磨いていく感じがあるのですが、それは若くて無垢だからこそかなと思うんです。
先の魔術師も若くて壁を知らないからこそ好奇心を持って前進しようとしているのですが、女司祭は前進というより、多くを知らないからこそ目の前の事に打ち込める様なニュアンスを感じるんです。
動きはあまり感じられないので、精神的な自分の世界にのめり込んでいくという感じで。困難な壁があっても私にはこれしか無いんだと没頭していく様な雰囲気です。
 
瑠璃
まさにその通りで、このカードって全く動きがなく緊張感すら漂うのですが、彼女の頭や心の中には宇宙が拡がっていて、それはもう多くの知識で満ちているだけでなく、物事の真理や答もしっている、そんなものすごい精神性の高さや神秘性みたいなものを感じます。
だからこのカードが出た時には、普段私たちが忘れたり使っていない、でも誰しも持っている、第六感や直観力といった不思議で神秘的な力、いわゆる「スピリチュアル」を呼び覚まして、そんなメッセージも浮かびます。
ただ、自分の世界にのめり込んでいくとありますが、内へ内へと、ただひたむきに、高みを目指すストイックさが、外の世界を遮断し、現実や他者や世間や社会などといったものも遮断している感じがあります。今頭に浮かんだのはあれです、「アナと雪の女王」のエルサが氷の城に立てこもっている感じ。

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良くも悪くも視野は狭まっていきそうですね。実際女性「性」にも背を向けていますし。意識的に無視しているのかな?
この視野の狭さが逆位置になると裏目に出てくる感じです。白黒付けたがって判断のつかないグレーという曖昧さが許せなくなってしまう。
そこが彼女の処女性や清潔さにも繋がるんだと思うんですけどね。
 
瑠璃
うん、完全とか完璧を求めすぎると、ついちょっとでも理想と違うかったら「うきー!」となっちゃいますよね。真面目すぎるゆえ、向上心高いゆえの弊害ですね。そして感情爆発してヒステリー・・・普段抑圧している分、爆発したときは怖いかもね笑 それこそネチネチと過去のことまであれやこれやと引っ張りだしてきそう・・・って、なんだか女司祭の悪口みたいなっちゃったけど、女司祭の逆位置ってでもこういうイメージがあるかも。 
 
笑。なんだか目に浮かびました。それはもう、重箱の隅を突くが如く、窓枠のホコリを指で掬ってため息を吐きながらネチネチ責められそうですね。
そして感情的ですが正当性もあるので反論の余地なく余計手に負えない…と敬遠されてしまいそう。彼女にも辛いとこではあります。完璧に近い自負があると思うので、同じ様に高い志通りにならない現実や相手に対しての苛立ちによる苦しみは相当なものでしょう。そしてそれは往々にして他人には理解できないものでもあります。
だからこそこのカードの逆位置が出ると曖昧も悪く無いよ、あなたにとっても周囲にとっても。と言いたくなります。
 
瑠璃
そう、白でも黒でもないグレーでいい!のです。白黒はっきり区別できないグレーなものが、現実世界にはあふれていますしね。
 
女司祭は自身のバイブルであろう法典を抱えていますよね。
でも実際は手元を見ずにこちらをじっと見つめています。そこから結局あなたはどうしたいの?答えは知性だけを元にしたものだけじゃなくて、あなたの選び取った直感で正解よ、と諭してきている様にも感じるんです。
聡明さを示すカードでもあるのに知識だけではなく直感的であれ。というのは相反したメッセージになるかもですが、彼女は相反する二極の原理が等しく釣り合う世界の中心に座する存在。
彼女はストイックに精神世界で知性を修めているからこそ、真理は既存の教えに従うのでなく自分の直感で導くしかない事を教えてくれているのかもしれません。