力
力とは
力はタロット8番目のカードです。獅子を手なずけて優しく微笑む女性が描かれています。
白いドレスは彼女の汚れなき純潔や、無垢を象徴し、ゆったりとした仕草や表情からは「女帝」とはまた違った女性のパワーを感じます。頭上のインフニティマークも彼女の聖性や溢れ出るパワーを強調しどことなく大地母神のような雰囲気ですね。
命をも奪われかねない獅子を暴力や恐怖で屈服させる事なく、あくまで対等な立場に立ち、獅子に生きる歓びや幸せを感じるように優しく喉元を撫でながら平和的に懐柔しているのです。
暴力や恐怖でのコントロールでは、憎しみ恨みを生みネガティブな連鎖は止まらないでしょう。
タロット8番目のカードはそんな力での支配ではなく、人間らしく物事を解決する力、真の力とは何かを我々に示すカードの様に感じます。
言葉の通じぬどう猛な獅子を懐柔するという事はそうたやすい事ではありません。強い意志で受け入れ忍耐がなければ決して成し得ない事です。長く時間をかけ精神修行を積む事でこの女性の様に人間としての本質的な強さを手に入れることができるのではないでしょうか。
正位置であれば困難を受け入れる精神力や忍耐力、人間の本質的な強さやその重要性を示しています。
困難に対し己を奮い立たせ、果敢に挑む必要性を告げることもあるでしょう。
相手を理解し、心を通わす事、安定した対等関係、コントロールなどがキーワードとなります。
問題においては表層的ではなく根本解決を目指すので長期戦となりますが、真の解決に対する真摯な心が求められるでしょう。
逆位置になるとそういった境地に至っていない、忍耐不足や恐れや恐怖に負けてしまう心の弱さや、逆に尊大な振る舞いや自尊心の高さが裏目に出ている事を示すこともあるでしょう。
正位置キーワード
- 忍耐
- 克服
- 勇気
- 達成
- 長期戦
- 気高さ
- 理性的
- 受動的
- 寛容
逆位置キーワード
- 忍耐不足
- 投げやり
- 自信がない
- 努力不足
- 諦め
- 甘え
- わがまま
- 持久力のなさ
- 恐怖に負ける
- 暴力で組伏す
シチュエーション別解釈
現在の状況
正位置
- 達成に向け努力を怠らない
- 忍耐強く取り組んでいる
- 己を奮い立たせる時
- 長期戦となる状況
- 柔軟に受け入れることができている
逆位置
- 更なる努力が必要
- 自信を失っている
- 権力や自分の力を振りかざしてしまっている
- 粘り強さや忍耐が足りていない
相手の気持ち
正位置
- 時間を掛けても大切に関係を温めたい
- 相手の意志を尊重して受け入れたい
- 一途
- 欠点もすべて含めて受け入れている
逆位置
- 意欲を失っている
- わがままを通したい
- 甘えて依存している
- 相互理解の姿勢がない(割り切っている)
- 自分の手には負えない
結果
正位置
- 自分の弱点を克服する
- 時間が掛かっても達成できる
- 自分の信念を貫く事ができる
- 困難な時を乗り越える
- 事態の継続、コントロール
逆位置
- 自分の欲望に負けてしまう
- 自信を失い挑戦できない
- 意欲を失って継続できない、諦める
- ドロップアウト
- 忍耐や寛容さが足りずに何かを手放してしまう
アドバイス
正位置
- 自分の信念を疑わないで
- 時間が掛かっても丁寧に進めることで成功を手にする
- 勇気を持って困難に挑戦して
- 寛大な受容性と包容力のある優しさを発揮して
逆位置
- 甘えは禁物
- 意欲がないならもう潮時
- 自分の気高さを忘れないで
- 問題の原因を見極めて
- 恐怖や恐れに負けずに真の強さをもって
- 投げ出したり諦めたりしないで根気強く
瑠璃と琥珀、力について語る
琥珀:
このカードは「力」というワードから多くの人が連想する「力」とかけ離れたイメージの絵が描かれていると思います。実際比較的タイトルから分かりやすい絵柄の多い大アルカナの中でも寓話的表現がなされるこのカードは目を引きますよね。
歩み寄るとか、相互理解とか勇気を出すそう言った事全部ひっくるめて「力」とするのがすごくかっこいいカードで好きです!
瑠璃:
そうなんです!ナウシカについて語る気満々でここにおります(笑)
ジブリ知らない人にはすみませんなのですが、もうこのカードは、わたしの中で、ナウシカがキツネリスのテトと始めて出会うシーンで、恐怖や怯えからテトがナウシカに噛みついた時に、「ほら、こわくない」「ね」とテトに優しく語りかけ、寛容な愛をもってテトを懐柔していく場面のカードなのです。ここでのナウシカがまさに力の正位置、そして恐怖や怯えに暴力という力で相手を負かそうとしているテトが力の逆位置、というイメージです。
琥珀:
かなりしっくりくるシーンのチョイスで瑠璃さんのジブリファン度の深さが伺えます笑
作品全体を通してもナウシカの姿勢は力というカードにぴったりですので、ご興味ある方はぜひ!!
戦車も人が獣性を「コントロール」している様子でしたが力は少し様子が違って、対等な立場で獅子を「手懐けて」いますね。このニュアンスの違いについてはどういう風に捉えていますか?
瑠璃:
戦車と対比させた面白い着眼点ですね。確かに力で描かれている関係というのは、上から下へみたいな統制ではなく、もっと横並び的な対等な感じがありますね。
いや、多分本来の自然の摂理でいけば獅子の方が圧倒的に強いので、人間は負けてしまうのでしょうが、それを物理的な力ではなくて、もっと精神的な力のようなもので対等な立場にもっていっている、むしろ獅子より上に立っているという感じがある気がします。
物理的な力を超える、精神的な力・・・それがこのカードの意味する力なのかもですね。
琥珀:
そうですね尊厳や理性をもって獅子と共にあろうとする姿勢は人だけが持つ不屈の精神を示していると感じます。そのためにはどうしても長い期間の努力や修行が必要だとしても心に決めたものがあればそれをやり通す「力」になるのでしょう。
「戦車」に通ずる面もありますが「力」は受容と寛容という精神的な部分がポイントになっていると思います。
理性と本能とのバランスをとって進む動きのある「戦車」に対し「力」は静かに受動の姿勢をとって初めて発揮されるものという感じでしょうか。
瑠璃:
確かに、相手ありきの受動による力ですよね。相手を手玉に転がすというか、相手の力を自分のものにする、いわば合気道的な、相手の力をうまく受け流し生かすみたいなのも、このカードに対するイメージとしてあります。
だからこそこのカードのキーワードとして長い時間をかけるとか忍耐という意味が出てくるのでしょうね。諦めずに根気よく向き合うことで、やっと通じ合える、やっと克服できる、やっと手に入れることができる力。
琥珀:
そういえば瑠璃さん何かのお話の時に、最近の時代はインスタント的に結果を求めがちって言ってましたけどこの力のカードは現在の社会の傾向と相対しているようにも感じますね。
本質的な解決や結果のためには即物的対応には限界があるように思います。素早さやスマートさもちろん大切ですが、時にはこの女性倣って困難に対して立ち向かい時間をかける事で得る事も必ずあると思います!
瑠璃:
ですね!
さっきのテトでいえば、未知なる相手におののき、相手と向き合うという難しそうな選択はさっさと捨てて、短絡的に暴力という物理的な力の行使に出てしまっていますもんね。
ちなみに琥珀さんの中で力の逆位置というのはどんなイメージがあったりしますか?
琥珀:
そうですねー、イメージするのは獅子の懐柔に失敗して喉元に噛みつかれてしまうシーンです。
その原因は挫折して結果を急ぎすぎてしまったのか、大切にすべき尊厳を見失った故か、はたまた勝手に恐れを抱いて逃げ腰になってしまったからか、前後のカードや質問内容から導き出しますが、まずはこのカードの示す本来の意味が発揮されていないと捉えます。正逆どちらにしよ精神力にフォーカスされたメッセージを感じますね。
瑠璃:
動物って人の気持ちを鋭く察するみたいなのありますもんね。ちょっとでも、「あ、負けそうかも」って弱気や恐怖心を持っていると、「こいつ俺より弱いわ、下だわ」と獅子に見透かされてしまうのでしょうし、逆に「力でねじ伏せてやるー」と相手を尊重せずにいきなり上に立とうとすれば、それはそれで獅子にがぶりと噛まれて己の弱さや浅はかさを思い知ることになるのでしょう。
真の強さを心にもつ・・・煉獄さん・・・!そういえば煉獄さんも言ってました、「強さというものは肉体に対してのみ使う言葉ではない」と。まあ煉獄さんは肉体も相当鍛え上げているので強いですが、まさに今回話した内容!
琥珀:
真の強さを心にもつ…!ほんと煉獄さんはいいことしか言いませんね!笑そしてこのカードの本質を突く言葉だと思います。自分の持ち得る力を誇張する訳ではなく、本当の安寧を得るために困難にも怯まず立ち向かう。
容易な事ではありませんが、カードの女性は現実を生きる上で大事にしたい事を示してくれている様に思えます。
お読み頂き、ありがとうございました。
ご依頼もお待ちしております!(๑>◡<๑)