愚者

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愚者とは

大アルカナの一番最初のカード、愚者です。

愚か者、オブラートに包む気すらない直球どストレートなタイトルですよね。

明るい陽気の中、派手な衣装をまとった青年が薔薇の花と小さな荷物をぶら下げ楽しげな様子でフラフラ歩いている様子が描かれています。

しかし、足元は切り立つ断崖絶壁で、踏み外せば無事ではいられないでしょう。

そばの白い犬はその青年につられて陽気にお供をしているのか、はたまた無防備な青年に警告をしているのか…。

このカードは無垢さ故に怖れを知らぬからこそ固定概念にとらわれない、無限の可能性を秘めていると同時に自由であるが故の危うさや無責任さを示すカードです。

彼がなぜ愚かなのか、またそれは誰からの視点からなのかというのもリーディングのポイントではないでしょうか。

 

正位置だと固定概念にとらわれない純粋さ、その無邪気さがポジティブに働き、新たなアイディアやチャンスを得る、自由であるからこそ無限の可能性を指します。

逆位置になると、自由であることのマイナス面が強調されます。

ふらふらと定まらなかったり、自由を求める姿勢が無責任にとられてしまったする可能性があります。また無防備すぎて大きなリスクに気づいていないという事もあります。

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正位置キーワード

・自由奔放

・縛られない

・新たな始まり

・楽観的

・無邪気

・未経験

・自然体

 

逆位置キーワード

・無責任な態度

・現実逃避

・地に足つかない

・不明瞭な行き先

・活力が湧かない

 

シチュエーション別の解釈

 

現在の状況/愚者正位置

・何か新しい出来事のスタート

・未体験な未知なることへの挑戦

・楽観的

・自然体

現在の状況/愚者逆位置

・はっきりと指針がなくフラフラとさ迷う

・大きなリスクを見落としている

・計画性や実現性がない

・地に足がついていない

 

相手の気持ち/愚者正位置

・なんの裏表もなく関係を楽しんでいる

・あなたとの時間が純粋に楽しい

・前向きでポジティブ

・相手はそれほど難しく考えていない

相手の気持ち/愚者逆位置

・ふらふら定まらず自分の楽しさ優先

・無責任

・自分でもどうして良いのかわからない

・決断をしたくない

・慎重になりすぎて臆病になっている

 

結果/愚者正位置

・旅立ち

・重圧から解放され新たなスタートへ

・新たな冒険の始まり

結果/愚者逆位置

・スタートを切れない

・活力不足

・慎重になりすぎて進めない

 

アドバイス/愚者正位置

・気持ちを楽に楽しむ事がベスト

・今の環境からの脱却

・もっと肩の力を抜いて楽しむ心を大切に

・楽観さとポジティブ思考をもって

・失敗すらも糧になる

・前向きな気持ちで新しいスタートを切って

アドバイス/愚者逆位置

・型にはまろうとしないで

・楽しいと感じる気持ちに向き合って

・責任感のある行動を意識して

・もっと現実を見てしっかりと計画をたてて

・失敗を恐れるあまり臆病になりすぎないで

 

瑠璃琥珀 愚者について語る

 

琥珀

私はこのカードについて思慮するとこの若者が世間一般の指す愚か者=ダメ人間という風には思いません。確かに服はボロボロで足元の危うさにも気づかない呑気な様子だし、この青年は知恵なき者なのかもしれませんが、知識の量が人間性の高さを決めるものではないはずです。世の中のことを知らぬ小さい子供から教わることはたくさんありますし、知性とは無縁の動物や虫から生きる知恵を学ぶこともあります。無知故に常識では及ばぬ素晴らしいアクションを起こすことが出来る。 まさに無限の可能性を秘めていますよね!

そんな風に思うと愚かなのは私なのか、彼なのか考えさせられますね。

常識を疑え。

そんな風に問うてくる様で個人的に好きなカードです。

 

瑠璃

うんうん、知恵を持ち過ぎても、色々知っているからこそ逆に何もできなくなってしまったり、頭でっかちなだけで実際は何の実践力もないということにもなりえるよね。大人になると経験が増えた分、あれをするとこうなる、こうするとうまくいくあるいは失敗するとか、頭だけで考えて、失敗しないような「賢い」選択をするようになる気がします。果たしてそれが「賢い」のか?失敗を恐れて何もできなくなっていないか、常識にとらわれて狭い枠にはまった生き方になってないか、そんなことを考えさせられるかも。

 

瑠璃

愚者のすごいところは、きっと傍から見たら失敗といえることでも、「え?今の失敗した?」って感じで気付いてなかったり、災い転じて福となすみたいに、なんか悪いことが起きても、持前の超ポジティブ思考でそれを苦と思わず乗り越えられる力にある気がします。そして、そもそも一番初めのゼロのカードだから、失うものもないし失う怖さもない、失敗すらも経験という大切な糧となる、そんなゼロの強さみたいなのを感じます。

 

琥珀

そう、ゼロは始まっていないんですもんね。失敗すら大切な経験というのはまさにその通りで私も含めて大人になるとどうしても「痛い目」を回避しようとしてしまいます。でもそれって見方を変えたら自分の成長するチャンスを逃しているとも思えますね。予想通りの成功しか得られないと頭打ちというか、既定路線から抜け出しにくくなる。それを打破するための衝撃を暗示するカードとして「塔」や「死」がありますが愚者の場合は恐れないから、他人から見れば大変そうな事すらも楽しめそうな雰囲気ですよね。

 

 

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琥珀

ではこのカードが逆位置に出るとどうでしょうか。私は自由である事のネガティブな側面が強調されると感じてて。なんでも良いよ!好きにして良いよ!って夢中になる事や楽しむ心がないとじゃあ何にもしなくて良いやーってなってしまう事もあると思います。自由と怠惰は近いところにあるなぁって思うんですよね。もちろん時としてダラダラする事も大切ですが度が過ぎたり、すると今度はダラダラしてないとツライ!何にも決めたくない!責任負いたく無い!このままでいたい〜という風になってきちゃうんですよね。愚者はその無垢さ故にそれが際限なくできてしまうと思うんです。

まぁ前述の通り、ゼロカードなのでそのまま痛い目みるのも良いかなとも思うんですが、逆位置で出ると、それはこのモラトリアムの先には実りはないよ、ちょっと崖から落ちる前に方向転換してみたらという風に読めます。

 

瑠璃

白い犬が警告している面が強くなる感じですね。実際崖から落ちて学ぶこともあるにはありますが、少し方向転換したら大怪我、最悪の場合は死に至ることを避けられますもんね。愚者のように前向きでポジティブな姿勢はいいけど、あまりに自由過ぎると、無責任さや、後先何も考えない無鉄砲さ、そして琥珀さんのいう怠惰が出てくるので、注意という感じでしょうか。

逆位置の解釈が難しいのは、そういった行き過ぎ注意という意味にも読めるし、場合によっては、愚者のような楽観さが足りてないよ、という意味にもなることですね。

んーでもどちらの場合にせよ、この愚者のカードを見ると、このカードの大丈夫なんとかなるさーという明るい雰囲気に、ポジティブパワーをもらえる気がします。