恋人
恋人とは
6番目のカードは恋人です。今までの人物たちとは違い、いきなり抽象的なカードになるので印象的ですね。
エデンの園のお話を簡単にしますと神が自分の姿に似せて「人間」を創造し、男性性のアダムに彼の肋骨を用いて創った女性性のイヴを添わせ、エデンの園にある善悪を知るための「知恵の樹」、永遠の命を司る「生命の樹」を守護させます。
そこで二人は楽しく、純粋な心のままに自然の営みを愛し、神に愛されなんの苦しみもない生活をしていました。
しかし悪魔の化身である蛇が「知恵の実を食べてごらんよ」とイヴを唆すのです。知恵の実には「善悪の判断を神ではなく、自分たちができる様になる」という力があり、この能力を得る事は神に対する反逆と同時に人間本来の無垢さや純粋さのまま喜び楽しみを分け合う性質を失うものでした。
神は知恵の実を食べてはいけないと二人に命じていましたが、イヴとアダムがその実を食した瞬間、彼らに羞恥心が芽生え、その事実を知った神の怒りを受けて原罪を背負い、エデンの楽園から追放されていったという内容です。
以上を踏まえてこのカードを見ると明るく、楽しい雰囲気で、裸体を気にしない二人の様子からはどうやらまだ知恵の実を食べる前の、神の庇護下で肉欲や苦しみなど知らない純粋に生を楽しんでいる時の様ですね。
ただ、まだ知恵の身を食す前なので、複雑な感情の上での愛や慈しみというよりは一緒にいてなんとなく楽しいというあくまでも感覚的な好意なのでしょう。
イヴの後ろには実がついた知恵の木とそれに絡みつく蛇がいます。また二人の後ろには高い山がそびえ、これから二人の身に降りかかる険しい試練を表している様です。
このカードは生きる上で私たちを取り巻く難しい問題やしがらみは抜きにして、ただ一緒にいるだけで楽しい!好き!という無垢な心で人を愛するという人間の感覚的な喜びや男と女、陰と陽の違うもの同士の結びつきは完全ではなくそれが移ろいやすい刹那的なもの、また何かを選び取る直感的選択のタイミングを示しています。
正位置だと楽しい時や心が満ちるという様な理屈では説明できない感覚的な事柄を指し、逆位置だとその楽しい気持ちが萎んでしまったり、軽薄さを表します。
人の心のとても感覚的な部分を指すカードなので状況や、問題の背景を汲んでリーディングする事が重要です。
正位置キーワード
- 協調
- フィーリングが合う
- 楽しさ
- ときめき
- 開放感
- 選択
- 円満
- 初々しさ
- コミュケーション
- 快楽
- 恋愛
逆位置キーワード
- 不調和
- 軽率
- 未熟さ
- 優柔不断
- 無責任
- マンネリ
- 不一致
- 誘惑に流される
- 刹那的
- 節度を持つ
シチュエーション別解釈
現在の状況/正位置
- 一体感がある
- 現状を楽しんでいる
- 心地が良い環境
- 選択の時
- 第三者による助けや加護がある
- 自分の気持ちと環境や相手がぴったり合っている
- 何にも邪魔されずに開放感がある
- 恋愛関係にあるか恋愛に発展しつつある
現在の状況/逆位置
- 周囲に流されている
- 気持ちが散漫で集中できていない
- マンネリで楽しめない
- 優柔不断で思い切れない
- ダラダラとしている
- 重要なことに目をつぶっている
- 心から楽しめない
- 頭で考え過ぎて感情や直感に従えていない
- 恋愛関係の問題を抱えている
相手の気持ち/正位置
- フィーリングが合う
- もっと一緒にいたいと思う
- 細かいところは気にならない
- 好き
- 惹かれている
- 心がオープンで開放的になっている
相手の気持ち/逆位置
- 合わないと感じる
- 刺激がない
- 自制が効かない
- 浮気心
- 今だけ楽しい時間を過ごせればいい
- 深い関係は求めていない
- 心から純粋に好きなったり楽しんだりできない
結果/正位置
- 満足のいく結果が出る
- より良い円満な関係となる
- コミュケーション能力の発揮
- 恋が始まる
- 良いパートナーと巡り合う
- 心から楽しめる
- ぴったり合うと感じる相手や環境に出会う
結果/逆位置
- 流されて結論が出ない
- 誘惑に負ける
- 不本意な結果となる
- 無責任に今だけを楽しむ
- その場限りで深い関係にはならない
- 理性で制御をかけすぎてしまう
アドバイス/正位置
- 心のままに楽しんで
- 自分の直感を信じて
- 形式にとらわれないで
- もっと身も心も外に開いてオープンに
- 難しく考えずに楽しめばいい
アドバイス/逆位置
- 自制心を持って
- 誘惑に負けないで
- 先のことを見据えた責任感ある行動を
- 好きになるのに理屈や理由もいらない
- 頭で考え過ぎずにもっと直観や感情に従って
瑠璃と琥珀恋人について語る
琥珀 :
今回は恋人についてです。急にふわっと抽象的になりますよね!
恋にも色々あると思います。でもこのカードはその中でも「初めまして、あ、なんかいいかも。もっと色々知りたいかも」という恋のスタートのドキドキワクワク楽しさ嬉しさ100パーセントな気持ちを指していて出てくるとアラいいですねーという気持ちになります。
こういういいなと思ってお互いを知っていく期間は人生の中でもとても貴重な短い期間だと思います。
どんなに最初が良くてもお互いのいろんな面が見えてくると「ただ好き」だけの桃色感情ではなく喜怒哀楽色々なエキスが混ざり合った鈍色の「それでも好き」になってきますもんね、これぞ原罪笑
尊いよ恋人。
瑠璃:
尊いよ笑。
今話してくれたように、恋愛初期のドキドキワクワク、なんで好きかって?そんなの理由もへったくれもないよ!なんかわかないけど好きなんだよ!恋って落ちるものなんだよ!って感じのカードですよね。
いやーいいですね♪なんというか、そういう頭で考えた理由とか理屈とかを超えた本能的というか動物的なところに野性さも感じるカードです。
ホルモンですね。もうそういうホルモンが出ちゃってるんですよ。
琥珀 :
別名ホルモンカード!笑
ちょっと本題から逸れますけど瑠璃さんみたいに、感じたことをそのままカードに自分のオリジナルネームをつけてリーディングしていくのはタロットを使いこなす上で有効な方法だと思います。
キーワードがあるととっさにひらめいたり、ぐっとスプレッドも読み解きやすくなりますね。
ぜひ皆さんにもして頂きたい、そしてどんなネーミングなのか教えて欲しいです笑
瑠璃:
このカードって、もうタイトルのままに「恋人」や「恋愛」がキーワードではあり、恋愛に関して、特に片思いに関して占っている時に出てくれば、その恋うまくいくよ!って感じがするのですが、長く続くかは・・・?ってところがありますよね。
感覚的に動物的にフィーリングでの合う!なので、深い関係になった時に、相手の考えや価値観をもっと深く知った時に、あれ違う?ってなる可能性はあるかもです。
それでもそんな惹かれあう相手に、そしてタイミングよく出会えるなんて、後ろにいる神様が引き合わせてくれているかのような、不思議な巡りあわせや計らいが働いているのではないでしょうか。
結果ダメになっても、素敵な時間が持てたのであれば、それはそれで素敵だと個人的には思いますし、このカードもそういう世界観だと思います。
琥珀 :
うん、今がサイコー!!って感じですよね。動物的感覚は長続きしないものですし、賞味期限があるからこそ美味しい、とも思えます。
しかしその時間は二人いずれ違う道を歩むとしても決して消えることはないですし、その思い出に苦しんだとしても決して悪いことではありません。
まさに神の計らいと言えますね。
今は恋愛を占った時の恋人についてですが、それ以外の対人関係に対しても当てはまりますね。1つの集団として一緒にいると楽しい!ノリがあう!けど個々のパーソナリティについてはまだよく知らない…そんなニュアンスです。
瑠璃:
うんうん、ノリが合う、フィーリングが合う、そういうのありますもんね。そして楽しいならそれでいいじゃーん、先のこととか、難しいこととかいいじゃーんって感じですね。
まさに快く楽しい、「快楽」ですね。
琥珀 :
さて、では逆位置になるとどうでしょう。
この恋人の持つライトな雰囲気が裏目に出て軽薄だったり、今だけの悦びが強調されて後先を考えない快楽主義のようなニュアンスになると思います。
例えば恋愛でいうなら正位置より自分の欲望を優先させてしまったり、快楽に流されたり。無垢で純粋な気持ちでというより、楽な方へ流されてしまうという感でしょうか。でも知恵の実を食す前なので、葛藤の末至ってしまうというよりは罪の意識も薄いし、あとはどうなろうが知らねーぜ!的な一夜のアバンチュールのような雰囲気になります。
またもっと感覚に従うべき場面なのに頭で考えすぎているよ!と全く違うニュアンスで出現するときもあるので、このカード正逆どちらも前後のカードや相談内容を吟味して読み解く一枚ですね。
快楽に流されたり、節度を保つことは別に悪いことでは無いけれど、本人は本当はどうしたいかな?という部分にスポットを当てて見たり。
瑠璃さんは恋人の逆位置が出るとどんなことを思いますか?
瑠璃:
そうなんだよねぇ、逆位置は過ぎる場合と足りない場合の両方の意味を持つからねぇ。
個人的には、このカードが逆位置で出ると、大人になっちゃったかな、賢くなっちゃったかな、理性芽生えちゃったかなって感じるかな。
丁度、知恵の実を食べた後のイメージ。
もうね、こんな素っ裸にもなれないしね、変な壁とか作らずにオープンハートで相手や環境に接することもなかなか難しくなっちゃうのよね、大人になると。
アダムさんとイヴさんもあーんなに楽しく暮らしてたのに、知恵の実を食べたがゆえに、大人の階段上っちゃたのよね。
でも、やっぱり大人の階段を上ったからこそ見える景色や知れることもあるんだろうね。対人関係でも、深く関わり知ることで、新たに芽生えるものがある。
琥珀 :
人間だからこその複雑な心の揺れ、葛藤、その上での喜びを知ってしまったらどんな苦痛があろうと、もうエデンの園での暮らしには戻れないのかもしれませんね。
一切の苦しみがないという事が=幸せとは限りません。
原罪を背負う事で失ったものも大きいですが、また得たものも変えがたいものだと思います。
ただ私たちも本能という野生を抱えた動物です。
時にはこのカードの示すようにひと時の快楽、純粋な悦びに身を任す時があってもいいのでは無いかと思います。